前回は、商売として手作りアクセサリーを作っていくプロの視点ということで、
デザインを見て、地金で作るべきかワックスで作るべきかの見極めをしていくという話をしました。
まだ読んでいないというあなたはまずはこちらの記事を読んで下さいね。 手作りアクセサリーを作るといっても、プロはその作ったものを販売するという視点から作り方を考えていきます。 趣味で作る場合との大きな違いが、この考え方だと言っても過言ではありません。 今回はそんな商売と ...
手作りアクセサリー解剖学!デザインから作り方を見極める
ボクは作る前にこんなことを考えて、そのアクセサリーの作り方や作業の段取りを決めていきます。
- そのアクセサリーは自分発信で作っていくものか、それともお客さん発信のものを作ってあげるのか?
- そのデザインの見た目から地金かワックスのどちらが作りやすいか判断する
- プラチナ、金、シルバーなど作る素材は何なのか?
- 1点ものなのか、それとも量産品として作るのか?
- 緻密な石留めデザインのものかどうか?
- 予算・納期はあるのか?
そして今回の視点は、「作る素材は何なのか?」
この作る素材であるプラチナ・金・シルバーなど、どの素材を使うのかによっても作り方を変えていかなければいけません。
作る素材から考えるプロの視点のお話をしていきたいと思います。
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作る素材によって作り方を考えていく
まずはその前に地金とワックスの作り方のメリットとデメリットを頭に入れておきましょう。
地金を使った作り方
地金を使ったアクセサリー作りは、板状・棒状に加工された金属素材を切り出して加工していくので、どうしても地金屑が出ます。
一つの商品を作るのに毎回無駄な地金がどうしても出てしまうのです。
分かりやすく地金の板を折り紙に見立てて説明しますね。
折り紙に花の絵びらを描いてそれをハサミで切り取るとします。
その切り取った花びら以外の切り端から、茎と葉っぱの部分を切り取るとすると、
全部切り取った残りの折り紙はどんなカタチになりましたか?
その残りの切れ端で次のアクセサリーパーツが取れそうな部分が残っていますか?
残っていなければ、それが切りクズ、ようするに地金屑です。
この地金屑は、ある程度まとまれば、溶かしてまた元の地金の板や棒にリサイクルすることができます。
しかし精巧な地金にリサイクルするには業者に出して再生加工してもらうしかありません。
工賃が掛かるため、地金屑を貯めて置いて、まとまってからリサイクルに出します。
なので地金から作る場合は、使えない地金屑を一定期間保管していないといけないのです。
金やプラチナで作りたいなら
グラム4000円以上もするような金やプラチナの地金を使うとなると、
毎回作るたびにロスが出てしまうこの作り方はちょっと非効率なんですよね。
まだ始めたばかりでこれから商品を作り貯めていく!っていう駆け出しの方が、
プラチナや金のアクセサリーを地金から作っていくのは、厳しいですよ。
早く売り買いの流れを作らないと、製作資金が底をついてしまいます。
もし1点もののオーダーメイド品や個展に出展するような作品を製作するなど、
プラチナや金の地金から直接作っていきたいというこだわりがあるようなら
地金から直接加工するようにしましょう。
通常、金やプラチナで作る場合は、
1点ものならワックスで作ってキャストするか、
量産したいなら、シルバーで作った原型アクセサリーから型を取って、金やプラチナでキャストします。
シルバーで作りたいなら
デザインを見た時に地金で作った方が良いようなアクセサリーデザインなら、
地金から直接作っていくようにします。
ワックスを使った作り方
地金以外の作り方としてロストワックス技法という方法があります。
ワックスという蝋に似た素材を使ってワックス原型を作り、その原型を使って鋳型を作ります。
その鋳型に作りたい金属素材を流していき、アクセサリーにしていくのです。
この方法は、ワックス原型を使って、1度だけシルバー・金・プラチナなど好きな金属のものを作り出すことができる技法です。
この作業をキャスト(鋳造)というのですが、
この加工方法だと、形どった部分だけにしか地金を使わないのでロスが最小限で済みます。
キャストの流れについての詳しい内容をイラスト付きで紹介しています。 ワックスを使って手作りのアクセサリーを作る”ロストワックス法”で必ず必要となってくる作業に、 鋳造(ちゅうぞう)または、英語名でキャスティングと呼ばれる作業がある。 その鋳造の作業を、自 ...
ロストワックスって何?アクセサリーの鋳造(キャスト)は誰がやる!?
業者にキャストを任せれば工賃が発生しますが、その分無駄となる地金を管理しておく手間が省けます。
しかも地金屑により一定期間滞ってしまう経営資金を効率良く使うことができます。
キャストを任せると毎回時間と工賃がかかってしまうので、
自らでもキャストすることは出来ますが、機材とそれを扱う知識と技術を覚えないといけません。
ボクは、自分の作品を作るということに集中したいので原型は自身で作り、キャストは業者に任せています。
作る前にプロが考える視点まとめ
さて、今回の視点である、「作る素材は何なのか?」
この作る素材であるプラチナ・金・シルバーなどによって、作り方を変えていきます。
シルバーなら、
デザインを見て地金かワックスのどちらで作るか決める。
プラチナや金なら、
1点ものならワックスで作ってキャストする。
量産ものなら、シルバーで作った原型アクセサリーから型を取って、金やプラチナでキャストします。
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